03『花言葉』

放置していてすいません、生きています。
なんかブログを書くたびにこればかりで本当に…すいません…；；

今後も浮いたり沈んだりのブログになるかとは思いますが、時々思い出したら…そっと、覗いてやってください…＾＾


さてさて、エアリスお題です。
今回は3番目のお題。クライシスコアでのエアリスとザックスのお話です。

以前書いてた話をところどころ修正したものになります＾＾
大丈夫だよ、って方は、続きからどうぞ…！

『花言葉』






2人で力を合わせて、花を売るためのワゴンを作った。
決して立派なものではなかったけれど、「彼が私のために一生懸命作ってくれた」
それだけで、すごく、すごく嬉しかったんだ。

大事に育てたお花をワゴンいっぱいに積んで向かった、初めての「お仕事」。
「売れ行きは好調！」というわけにはいかなかったけど・・・・。
でも、手にしてくれた人の嬉しそうな笑顔を見ていたら、私の心まで明るくなった。
「大事に育てていて、よかったな」って、そう思えた。
お花もきっと、喜んでいるよね。
隣には、1本売れるごとにまるで子どものように大はしゃぎするザックスの姿。
「ありがとうございまーす！！」
満面の笑みを浮かべ、大きく手を振ってお客さんを見送る彼の横顔を見ていたら、何だかとてもおかしくなった。
本当に、見れば見るほど、この人がソルジャーだなんて信じられない。
今笑ったかと思えば落ち込んでみたり、そうかと思えば得意満面で話し始めたり・・・・。
くるくる変わる表情は、まるで百面相だね。
クスクスと笑う私に気付いて、ザックスが怪訝そうに振り返る。
「何だよ？さっきから笑ってるけど」
口を尖らせて言う彼に、私はひらひらと手を振って見せた。
「ううん、何でもない。ただ、ザックスがあまりにも嬉しそうだから。」
私の言葉に、ザックスはきょとんとした後、軽く首をかしげた。
「エアリスは、嬉しくないのか？」
そんなわけ、あるはずがない。
「ううん、嬉しい。ザックスがこんなに喜んで、一生懸命になってくれて、私、すっごく嬉しい」
そう言うと、私は彼を見てにっこりと笑った。
そして、彼の空色の瞳をまっすぐに見つめて告げる。

「ありがとう」

心からの、私の言葉。
私のわがままを聞いてくれて。
一生懸命、お花を売ってくれて。
・・・・私の隣にいて、一緒に喜んでくれて。
「――ありがとう」
もう1度、心を込めてそう言うと、彼は照れたように頭を掻きながら言った。
「いや、そんな何回もお礼を言われるほどのことじゃないって！」
私と彼を包む、温かい空気。
それを裂くように、ふいに高い電子音が鳴り響いた。
慌てて携帯電話を取り出す彼の姿に、この時間が終わりを告げるのだということに気付いた。
寂しいな、私の心の中、もう1人の自分がポツリと呟いた。
「・・・ごめん、行かなくちゃ」
申し訳無さそうに切り出す彼に、私は努めて笑顔を見せる。
「ううん、いいよいいよ。気にしないで。・・・・お仕事、頑張ってね」
「ああ」
笑顔で答えた彼が、体を翻して駆け出そうとする。
「――待って！」
思わず呼び止め、私はワゴンの中から1本の花を取り出した。
そうして、驚いたように振り返ったザックスにそっと差し出す。
「これ、あげる。今日のほんのお礼。お代はサービス期間中につき、タダにしておきます」
私が差し出した花は、白い花びらをつけたカモミールの花だった。
ほんのわずか、花と私の顔を交互に見つめた後、ザックスは子どものように、ニッコリ笑った。
「サンキュ。じゃ、お礼は帰ってからゴールドソーサーでデートな！」
「・・・もう、また・・・・！」
ばっかみたい、そう呟きながら、彼の笑顔と遠くなっていく背中を、私はいつまでも見送っていた。

彼に渡したカモミールの花言葉は、「苦難の中での力」。
この先、どんなに辛い状況に陥っても、彼を守ってくれますように。
・・・・無事に、帰ってきますように。
「また、ね。ザックス。」
見えなくなった背中に、語りかける。

「今度会うときには、ピンク色の服、着ていくから。」


それを見た彼は、どんな顔をするだろう。

可愛いって言ってくれたら、嬉しいな――・・・・。